関節鏡・スポーツ医学センター

医師紹介

小瀬 靖郎(おぜ やすろう)

顔写真:小瀬 靖郎

職務

  • 関節鏡・スポーツ医学センター長

専門領域

  • 肩関節

診療科紹介

関節鏡・スポーツ医学センターは主に肩関節・膝関節の疾患に対して低侵襲な関節鏡を用いた専門的な医療の提供を目的に平成24年11月に開設しました。

保存的加療や予防の指導を行い、手術的加療の必要な疾患に対しては主に関節鏡を用いた低侵襲の治療を心がけております。

傷跡が小さく目立たず、早期に動くことが可能になり、入院期間も短縮され、日常生活・仕事・スポーツへの復帰も早くなります。
スポーツ選手だけでなく中高齢者も含めた各関節に不安や障害をかかえる全ての方々が対象となります。

関節鏡手術に関しましては、肩関節、膝関節、肘関節、足関節に対応しております。
肩関節に関しましては、センター長:小瀬医師を中心として腱板断裂に対する修復術、反復性肩関節脱臼に対する制動術など多くの疾患を治療しております。また肩専門外来も行っております。

開設以来、多くの患者さんに来院していただき、手術件数も年々増加しております。
関節に不安を抱える中高年の患者さんからスポーツ外傷・障害に悩む方は是非ご相談ください。

特色

現在、関節鏡手術ができる代表的症例

肩関節 腱板断裂反復性肩関節脱臼石灰沈着性肩腱板炎、凍結肩
膝関節 半月板損傷前・後十字靭帯断裂、反復性膝蓋骨脱臼、変形性膝関節症
肘関節 離断性骨軟骨炎、野球肘
足関節 関節ねずみ、関節軟骨障害

肩関節疾患

イメージ図
腱板断裂
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腱板断裂
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鏡視下手術
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鏡視下手術

腱板断裂

腱板断裂とは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ板状の腱が切れた状態で、50歳以降の方に好発する疾患です。

転倒時に手や肘をついたり、重いものを持ち上げようとして肩をひねったときに発生する場合もあれば年齢とともに自然に擦り切れて断裂する場合もあります。五十肩と診断される場合も多く、専門医を受診されることをお勧めします。

症状

肩をあげるときに痛みが出たり、横になると痛みを感じて夜何度も目が覚める、肩に力が入りにくいなどが特徴です。

治療

症状が軽い場合には消炎鎮痛剤の内服、リハビリ、関節腔内注射などの治療を行います。 このような治療を行っても痛みで日常生活に支障をきたす場合は手術を行うことがあります。 手術が必要な場合、当院では“関節鏡視下手術”を行っています。

従来の切開手術と比較すると、感染症を起こしにくい、正常組織を傷つけにくい、術後の傷跡が小さい筋肉をほとんど傷めないといったメリットがあります。手術は1時間~1時間半。手術後は装具で3~4週間固定し、縫合した腱板を保護します。

リハビリは手術翌日よりリハビリスタッフと共に開始し、退院後も継続して行われます。個人差はありますが、目安としてデスクワークは退院後すぐにでもでき、軽作業は2~3ヵ月後、重労働は3~4ヶ月後から可能になります。

入院期間

入院期間は1週間~2週間程度ですが、患者さんの状態に合わせて相談しながら対応しています。

反復性肩関節脱臼

肩関節は反復性脱臼が最も多くみられる関節で、ほとんどのものが外傷性の脱臼に続発しておこります。一度脱臼を起こすと、それが癖になって軽微な外傷でも肩が外れるようになってしまった状態を反復性肩関節脱臼といいます。

自分で整復しようとすると神経などを傷つけることがあるので脱臼した関節が動かないように三角巾や包帯で固定した後、専門医を受診しましょう。

症状

日常生活では痛みはありませんが、転んだり・起き上がろうとして腕を動かしただけで、脱臼する場合があります。

治療

脱臼が初回の場合は三角巾で肩を固定した後、肩周囲の筋力強化のリハビリを行います。繰り返す場合は靭帯を修復する手術をお勧めします。

当院では内視鏡を用いた修復術を行っており、従来の手術と比較すると、傷跡が小さく手術後の可動域制限が少ないことが特徴です。

手術は2時間程で終わります。手術後3週間は入浴時以外は装具にて固定します。
リハビリは手術翌日よりリハビリスタッフと共に負担がかからないようなリハビリを行います。個人差はありますが、1~2ヵ月で日常生活には不自由がなくなり、約3ヵ月で軽いスポーツができ、スポーツ復帰は約6ヵ月で可能となりますが、ハイレベルなスポーツ活動には最低でも術後1年ぐらいはかかります。

入院期間

入院期間は1週間~2週間程度ですが、患者さんの状態に合わせて相談しながら対応しています。

石灰沈着性肩腱板炎

肩関節を動かす最も重要な原動力である腱板の中あるいはその周辺に石灰が溜まり炎症をきたすことで生じ、肩の動きを伴う動作時に痛みが生じます。30代以降の女性に多く、突然誘因なく激痛が走り、腕を動かすことができないのが特徴です。

症状

痛みのため肩を動かすことができず、安静にしても激痛のため寝ることさえできなくなります。また、肩を動かしたときに引っかかる感じがすることもあります。

治療

消炎鎮痛剤の内服、関節腔内注射が最も効果的で、ほとんどの場合保存療法で軽快します。しかし、保存療法に効果がなく、肩の引っかかり感やある角度での痛みがとれない場合には、手術で摘出することもあります。

手術の場合、当院では“関節鏡視下手術”を行います。手術自体の侵襲がとても小さいといったメリットがあります。手術は1時間~1時間半程で終わります。リハビリは手術翌日よりリハビリスタッフと開始し、個人差はありますが数日後には日常生活が可能となります。

入院期間

入院期間は2・3日~1週間程度ですが、患者さんの状態に合わせて相談しながら対応しています。

膝関節疾患

半月板損傷

半月板とは膝の内側、外側それぞれ1個ずつある馬蹄形をした軟骨の板です。 膝関節を安定させる役割や、膝関節の衝動を和らげるクッションの役割を果たしています。 スポーツ時の軸足をひねる動作で、この半月板が割れることがよくあります。

症状

断裂した半月板が関節の間に挟まって動かなくなり膝を伸ばすことができなくなります。また、膝関節の痛み、腫脹、引っかかり感、膝が動かない、関節内に水や血液が溜まるなどの症状がみられます。

治療

まず、痛みと腫れを取るために安静と鎮痛処置(投薬及び関節腔内注射)などの保存療法を行います。症状が軽くなったらリハビリ(装具をつける時もあります)と関節腔内注射を続け経過をみていきます。保存療法で改善しない場合には手術を行います。 当院では関節鏡視下手術を行います。関節鏡にて半月板の損傷レベルを確認し、縫合できる状態であれば半月板縫合術を行い、傷んだ部分のみを切除する部分切除を行います。 術後の傷跡が小さく低侵襲というメリットがあります。リハビリがとても重要で、低下している筋力を正常な状態まで戻し、安全性、持久性などを高めるトレーニングを行い2ヶ月後くらいから軽いランニング、3ヶ月前後でスポーツ復帰ができます。

入院期間

入院期間は2・3日~1週間程度ですが、患者さんの状態に合わせて相談しながら対応しています。

膝前十字靱帯断裂

膝前十字靱帯は大腿骨と脛骨をつなぐ靱帯です。靱帯には前後の安定のために前十字靱帯と後十字靱帯があります。大腿骨の後方から脛骨の前方についているのが前十字靱帯です。 スポーツで損傷することが多く、ジャンプの着地時に不動な外力によって受傷することがほとんどです。多くの場合、「ボキッ」という音を感じることもあり、直後に激痛が走ります。徐々に膝の腫れが出現し歩行困難となります。しばらくすると歩行が可能になることもありますが、強い痛みのためプレー継続は困難です。また、損傷を放置することにより半月板損傷や二次的な障害を引き起こす可能性が高いといわれています。

症状

「膝がぐらぐらする」「膝が完全に伸びない、正座ができない」「スポーツ復帰して何度も膝が外れてしまう」など不安定感が主な症状です。

治療

保存療法の場合は膝の腫れ・痛みが強い時は負担をかけないよう可能な範囲で膝の安静を保ち、強い痛みがある時は痛みや炎症を抑える目的で消炎鎮痛剤の処方を行います。 また多量に水がたまった時は関節穿刺を行います。炎症を鎮める効果のある関節腔内注射を行うこともあります。 手術の場合、当院では鏡視下手術を行っています。傷跡が小さく筋肉をほとんど傷めないといったメリットがあります。 手術は1時間半から2時間程です。手術後は2週間程装具で固定します。リハビリは術後翌日より開始し、日常生活への復帰を目指してプログラムにそって、筋力訓練、歩行器、杖、歩行練習を行っていきます。

入院期間

入院期間は2~3週間程度ですが、患者さんの状態に合わせて相談しながら対応しています。



肩の痛みが長引く場合は、専門医の診察を受けることをお勧めします。
痛みの原因を見つければ、早期に軽減・治療ができ、QOL(生活の質)向上につながります。